全宇宙誌という宝物みたいな本

 僕の家には大きな本棚が何面もある。幼い頃から僕は毎日勝手に本を手に取ってながめたり、読んだりしていた。その中で、とびきり気に入っているものを紹介する。

 松岡正剛さんの「全宇宙誌」だ。当時も今も、難しくて内容についてはほとんど書けないが、この本の凄さを端的にいうと、「宝物」だ。

 まず、本自体にたくさんの仕掛けがある。透明のシートに宇宙が白いインクで印刷されている。そして、透明のシートを外すと、僕が一番あこがれている、黒い宇宙が現れる。透明のシートと、中の表紙が組み合わさることにより、宇宙が複雑になるしかけだ。

 小口にも、宇宙がある。小口という名前は、この文章を書こうとして、なんて書けばいいかわからず、教えてもらった。小口を左に傾けると、Mac os X Lionのデフォルト壁紙のような宇宙が現れ、右に傾けると、星座が見える。

 本の中を開いてみると、家の光を全て吸収して空っぽにしてしまいそうな黒色の紙に、光るように並ぶ白色の文字と絵がずらりと整列している。途中に、宇宙探索者や、星座にまつわる動物が描かれている。

 僕は、自分の本「わたしは、あなたとわたしの区別がつかない」もこの本のように宝物にしたくて、小さい絵や大きい絵をたくさん入れたが、ぜんぜん違う。全宇宙誌は何かを物語るように神秘的に描かれているが、僕の本は、本文に書き足した落書きである。宇宙の深さがない。でも、僕の本は僕の本で誇りを持っている。

 松岡正剛さんの本は、家に何冊もあり、僕の好きな仕掛けがいっぱいあるような本を制作しているので、一度は会ってみたいと思っていたが、今日、宇宙の永住ビザを取って別世界へ行ってしまったことがわかった。

 僕の夢は永遠に叶わない夢になってしまったので、とても悲しいが、僕も宇宙に行ける年齢になるまで生きていきたいと思う。

 でも、作者はこの世からいなくなってしまっても、本はずっと僕の家に住み続けるので、これからも時々開いて読みたい。そして、宇宙に行ったら、聞いてみたい。「どうしてこんなに仕掛けを作ったの?」って。

午後4:45 · 2024年8月21日 Twitter X


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